2013年12月26日木曜日

加速するベーシックデザイン×機能。



山田耕史のファッションブログ: 大手GMSがユニクロに対抗出来る唯一(?)の方法。

↑のエントリは防水仕様のコンバースオールスターを例のひとつに

 

ベーシックなド定番デザインと

最新技術を駆使したハイテク機能との融合が進みつつある、

という事をご紹介しました。





これを書いてから1ヶ月と少ししか経っていませんが、

着実に「ベーシック×機能」アイテムが市場に増加しているのが感じられます。


私が最も面白いと思ったのがこちらのSHIPSのダッフルジャケット。



SGS: ゛GORE TEX゛ メルトン ダッフルコート■(ダッフルコート)|SHIPS GENERAL SUPPLY(シップス ジェネラルサプライ)のファッション通販 - ZOZOTOWN

デザインはド定番のメルトン素材のダッフルジャケットですが、

この画像にもロゴが出ているようにゴアテックス社の機能素材、

ウインドストッパーが使用されており、

キレイ目のコーディネイトにマッチするシンプルでシックなデザインながら

高い防風性、保温性、透湿性を誇るアイテムになっています。




この流れは比較的実用性が重視されるメンズウェアだけではなく、

レディスにも広がっています。

ナノユニバースでは一見普通のウール素材のモッズコートなのに



裏地は寝具メーカー西川産業とのコラボレーションのダウン素材となっており

ウール素材のキレイ目なルックスと

ダウン素材の暖かさを両立させています。



Amazon.co.jp: (ナノ・ユニバース)nano・universe 西川ダウン ウールモッズコート: 服&ファッション小物




また、ウェアだけでなく

ブーツのド定番であるクラークスのワラビーブーツも



クラークス×ナナミカの限定コラボシューズ発売 - 鮮やかなソールがスポーティーなワラビーブーツ | ニュース - ファッションプレス

人気セレクトショップ、nanamicaとのコラボレーションで

インナーにゴアテックス素材を使用し

完全防水仕様に生まれ変わっています。




この「ベーシック×機能」アイテムは

現状ではまだセレクトショップなどで取り扱われる

ある程度高価格なアイテムに限られていますが、

これからはもっと低価格、マス市場に広がって行くでしょう。




今まではファッションというとどうしても

デザインが勝負になっていましたが、

今後はデザインはベーシックでも機能性をプラスする事で

他社他店との差別化が出来るようになります。



今はファッションアイテムでも

着回しや異性ウケなどのいわゆる「コストパフォーマンス」が

重視される時代です。

買ったその年しか着られないようなトレンドデザインのアイテムに

デザイン料として高いお金を払うよりも、

何年も着られる定番デザインで、しかも機能性が高いアイテムに

企画料としてお金を払いたい、

そう考える人も多いのではないでしょうか。


※注
ここで述べられている内容は書き手の所属する組織・団体の主張を
代表・代弁するものではなくあくまでも筆者一「個人」としてのものです。

2013年12月25日水曜日

地に足の着いたクールジャパン機構のファッション戦略。



12月17日付の繊研新聞で

「東京の若手デザイナーブランドの課題 問われるビジネスへの構え」

と題した記事が掲載されていました。



この記事のイントロダクションは

日本起業の海外進出を支援する官民ファンド、

「クールジャパン機構」について触れられており、

「ファッションの領域でいえば、

肝心の日本発信のデザイナーブランドの現状は

ギャップがあるようにも思える」

と書かれてあり、

その後日本の若手デザイナーのビジネスに対する指摘がされていました。



これを見て私は

「そう言えばクールジャパン機構の

ファッションに対する支援ってどういうものなんだろう?」

「もしかして若手デザイナーに対する支援とか?

それって効果はあるのかな?」

と思ったので

実際にクールジャパン機構で

どういった支援が行われるのか調べてみました。




こちらのサイトに掲載されている


に概要がありました。



ファッションのプロジェクトの事例のページもあり、



これによると今回のクールジャパン機構の支援の対象は

デザイナーブランドではなく、

「UNITED ARROWSやCiaopanic、WE GOなどの

日本で人気のショップ

(資料では新興アパレル15ブランドと表記されています)の

シンガポール進出にあたってのマーケティングプラットフォームを構築、

現地消費者向けに日本ファションの話題づくりを仕掛け

現地華僑系小売商とのネットワークを構築する」

という内容になっています。



つまり、

デザイナーブランドを輸出するのではなく、

セレクトショップを輸出する

という事です。


今まで散々指摘されてきている事ですが、

いわゆる御三家、イッセイミヤケ、コムデギャルソン、ヨウジヤマモト以降で

海外でも高評価を長年持続させているデザイナーブランドは

かなり少数です。

そんな状況が20年以上続いている中で、

政府が300億円出資する、つまり血税が注ぎ込まれるクールジャパン機構が

新進デザイナーブランドを支援するのは

なかなか大衆の共感を集めにくいと思います。

ファッション文化というとどうしてもデザイナーに注目が集まりがちになりますが、

UNITED ARROWSを筆頭に

成長を続けているセレクトショップを支援の対象にするのは

とても現実的で評価出来るものだと思います。



欧米のセレクトショップはハイエンドのデザイナーのセレクトのみが主流で

顧客層も高額所得者やファッション業界人など限られた人種が中心です。

しかし、日本のセレクトショップは長年進化を続ける中で

セレクトショップオリジナルアイテムという

比較的安価でトレンド商品を提供する

世界でも珍しい商品がショップの主力アイテムになっています。

近年はその製造背景ゆえに

各ショップのオリジナルアイテムの同質化も指摘されていますが、

参考:似たり寄ったりになるのは何の不思議もない : 南充浩の繊維産業ブログ

H&MやFOREVER21などのファストファッションが日本に上陸するまでは

数少ない一般庶民の手が届くトレンドアイテムとして

セレクトショップオリジナルアイテムの存在価値は高かったと思います。(特にメンズでは)

そんなガラパゴス化とも言うべき

独自の発展を遂げた

日本のセレクトショップは

私は海外に輸出するに値する

日本独自のファッション文化であると思います。

それが海外のファッション市場で受け入れられるかどうかは

また別の問題になりますが、

上手く行けばかなり大きな市場を創出する事も

可能ではないでしょうか。


今後の展開を楽しみにしたいですが、

マスコミではなかなか報じてくれなさそうですね。

ネットメディアを活用したPRに期待します。


※注
ここで述べられている内容は書き手の所属する組織・団体の主張を
代表・代弁するものではなくあくまでも筆者一「個人」としてのものです。


2013年12月20日金曜日

原宿はファッションのディズニーランド!



先日原宿にリサーチに行った時の事です。


明治通りから一本入ったネイバーフッドやエイプなどの

ストリート系ブランドのショップが点在している

通称「プロペラ通り」を歩いていると

面白い光景を発見しました。


人気ストリートブランドSUPREMEの前に

SUPREMEの買い物袋を下げたちょっと地味目の

制服姿の女子高生の集団がいるのです。

その女子高生は恐らく修学旅行生。


SUPREMEの日本での直営店は東京、名古屋、大阪、福岡にしかなく、

取り扱いのあるショップもかなり限られているので

東京土産としてはぴったりなのでしょう。

彼女たちが持っていた買い物袋の小ささから推察するに

SUPREMEの人気アイテムであるステッカーか

参考:アパレルブランド「Supreme」のレア度満載ステッカー歴代コレクションPhotoshopVIP |

キーホルダーなんかを購入したのではないかと思います。

その前を通りがかった私たちは彼女ら声を掛けられ、

SUPREMEと同じく人気ストリートブランドである

X-LARGEのショップの場所を尋ねられました。

どうやらストリートブランドショップ巡りをしていたようです。



彼女たちと別れた後、

へぇ。最近は修学旅行で服屋に行くんだなぁ。

自分の高校の修学旅行は長野でのスキーだったから

服屋なんて考えられなかったなぁ、

などとぼんやり思っていたのですが、

その後意識して街を見てみると

原宿にはかなり多数の

修学旅行生が歩いているのに気が付きました。







これは明治通りと表参道との交差点、

東急プラザ前での光景です。

彼らも修学旅行生でしょう。

揃いも揃ってティーンズに人気のショップ、WEGOの買い物袋を下げています。

この他にも丁度信号待ちで私達の前にいた男子高校生グループは

わいわい騒ぎながらスピンズに入って行きました。





以前から散々言われている

「最近の若者~をしなくなった、買わなくなった」論。

ファッションもその対象に挙がっていた記憶がありますが、

果たしてそうなのでしょうか。

恐らくそんなには長時間ではないでしょうし

他にも東京で色々訪れたい場所があるであろう

修学旅行の自由時間を

原宿のショップ巡りに費やす高校生達を見ていると、

(しかもオシャレが大好き!というような

一部の特殊な高校生ではなく、

ごく普通のどこにでもいる高校生が殆ど)

最近の若者がファッションに興味が無くなったとは

思えません。

ファッションに使う金額は以前よりも減っているのかもしれませんが、

若者のオシャレをしたい

気持ち自体に変化は無い

ように感じました。


※注
ここで述べられている内容は書き手の所属する組織・団体の主張を
代表・代弁するものではなくあくまでも筆者一「個人」としてのものです。


2013年12月18日水曜日

メンズエッグ最終号で見る「ギャル男ファッション14年史」。



今までメンズエッグ関連記事をいくつか書いてきました。




山田耕史のファッションブログ: men's eggが休刊に追い込まれた理由は何だったのか?

今回はその最終章になるでしょうか。

メンズエッグの最終号、

メンズエッグ 2013年11月号に掲載されていた


「ギャル男ファッション14年史」

という特集。

メンズエッグが創刊された1999年からの

ギャル男ファッションの変遷が紹介されており

ギャル男ファッションの流れが一目瞭然です。

是非とも多くの人に読んで頂きたい良い出来なのですが、

残念ながらAmazon他ネット書店では売り切れの模様。

古本では2000円オーバになってしまっています。



資料的価値が高く、

このまま埋もれてしまうのは勿体無いので

そのアーカイブ化という観点からも

当ブログに大まかな流れを抜粋してみます。

(本当は画像も沢山載せられたらいいんですけどねー)


誌面は年表風になっており、

1年毎に数ページの誌面のビジュアルと

解説が掲載されています。




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1999年

・カラパンはギャル男のユニフォーム

ギャル男=カラーパンツとは今からは想像出来ないですねぇ。


2000年

・11号から待望のスタイリスト投入!

創刊当時は編集者がスタイリングを行っていたとの事。
B-BOYのようなビッグシルエットの
ジャージセットアップやサッカーのゲームシャツなど、
今のメンズエッグからは考えられない
スポーツアイテムが特集されています。


2001年

・オールドサーフからアダルトまで幅広くファッションスタイルを網羅

オーシャンパシフィックのロゴTが掲載されています。
今のギャル男は着ないでしょうねぇw


2002年

・メンナイの始まりとピロムらの影響でクラブファッションが台頭

サイケを取り入れていた時期もあったんですねぇ。


2003年

・アメカジ、アダルト、サーフ、B-BOY…あらゆるスタイルを提案

「今思うとメンエグでB系ってワロス」と書いているように、
まだ方向性が絞りきれていない感じですね。


2004年

・センターGUY誕生!渋谷の雰囲気が一気に変わる

そう言えばありましたねーw


・アダルト→お兄系として発信全国規模のムーブメントに!

ここでメンズエッグ的お兄系の定義が述べられています。
「長らく一定の支持を集めていたアダルト系ファッションが
『お兄系』として確立されそのスタイルは全国を席巻。」
ギャル男とお兄系は混同されやすいですが、
 ここではメンズエッグの読者層=ギャル男で、
ギャル男が着るファッションスタイルの一つ=お兄系
という事のようです。


・アメカジ、古着、サーフも引き続き人気継続中

古着も今のギャル男は着ないでしょうねぇ。


2005年

・デリッカーが大ブレイク!!

デリッカーとは「男くささを押し出し」て
「ゴツいアクセをジャラジャラ着けしてハードなデザインのウェアをまとったルックス」
だそうです。
今も人気のJACKROSEのようなイメージでしょうね。
「ギャル男スタイルの1サンプルとして確立」されたそうです。
でもこのデリッカーというネーミングってあまり広がらなかったんですね。


2006年

・アメカジやアウトローがジワジワと…

「武装戦線」というキャッチコピーからも
後の悪羅悪羅系に繋がる雰囲気を感じます。


・レディースアイテムで着飾るタイト男子が急増

男っぽいデリッカーが流行した反動でしょうか。
最近こういったタイト系はトレンドになっていないので
また近々復権するのでしょうね。


・デリッカー終焉

終焉早いw
「しかし、大阪ではこの後も人気が継続された」そうです。


2007年

・デリッカーの延長でサイケ感強めな「裏渋系」スタイルが登場!

「アジアンテイストをふんだんに使用した」スタイルだったそうです。
goaみたいな雰囲気なのでしょうか。
民族系もそのうち復活するでしょうね。

・ロック&バイカーの男臭いスタイルが人気を集める

デリッカーの流れや2006年のアウトロー系の影響で浮上したのでしょうか。
こういったトレンドの流れを予想するのは楽しいですね。


・お兄系も継続

ここから2009年まで「お兄系が継続人気」と取り上げられています。
2004年には「今年もお兄系一本主義」というタイトルで特集が組まれ、
この年にお兄系は全国規模になったと書いてあるので
渋谷で誕生したのはその前年、前前年あたりでしょうか。
今もまだ生き続けるお兄系は誕生して約10年くらいなのですね。
関連:山田耕史のファッションブログ: お兄系は不滅?戦後ヤンキーファッション史に見るお兄系の位置。


2008年

・アメカジスピリットは忘れてません

デリッカー→ロック&バイカー→アメカジという流れでしょうか。
アメカジはこの後2011年まで継続です。

・お兄系も変わらず人気

継続です。


2009年

・アメカジ、ロック、お兄系の3本立て

「ファッションはいくつか選択肢があるものの、髪型は変わらず茶髪のミディアム」
だそうです。
この辺りで「お兄系」のイメージが完全に確立されたような気がします。


・お兄系は安定した支持を継続

「若干タイトめになって、スマートな印象に」変化したそうです。


・アメカジ熱も再び

再び、とありますが継続ですね。


・読モブランドが大フィーバー!モデルの8割がデザイナー(笑)

「さて、いま生き残っているのは?」とセルフツッコミ。


2010年

・ブラックスタイルは冬の定番

お兄系のブラックではなくバイカー、ロックのブラックのようです。


・見切り発車で打ち出した「アバカジ」浸透せず

「新たな試みとしてアーバン(都会)×カジュアル「アバカジ」を発信。
が、完全に見切り発車で浸透せず、身内からもバッシング(笑)
だそうです。
最終号ならではのぶっちゃけ具合ですね。


・ACID ROCKが誕生!

当時浮上していたサロン系とお兄系が融合した
ACID ROCK系。
「特集するや否や反響が」という事です。
こちらは「アバカジ」の様に見切り発車ではなく
ストリートでの人気をベースに発信したという事でしょうか。


2011年

ACID ROCK旋風が渋谷を席巻

前年登場したACID ROCKが大人気に。
「読者のみならずアパレルも巻き込んだ一大ブーム」になったそうです。
…そこまででしたっけ?w


アメカジ、NEOお兄系、ACID ROCKの3本柱

「イチオシにするスタイルを迷っていた時期でもある(笑)」だそうです。


お兄系が「NEOお兄系」として復活!

「いつの間にか姿を消していたお兄系がより洗練され、そしてセレブ感を加え
「NEOお兄系」として復活。」
今のBITTERに繋がるスタイルですね。
この頃からシャツスタイルのキレイ目スタイルが増えていった気がします。

バイカーも発信するも…

「かつての武骨スタイルを復活するべく、思いっきりワイルドさを出した
バイカースタイルを提案。これで計4スタイルになり、読者を惑わす結果に」
やはりテイストが多過ぎると問題ですね。
関連:山田耕史のファッションブログ: メンズエッグの次はソウルジャパン?ファッション雑誌のテイストのブレについて考える。

2012年

モテをとことん意識したファッション構成に移行

「ACID ROCKが半ば強引に終了させられ、
ファッションの流れは完全に「モテ」路線に」
これは編集方針の転換でしょうか。
「この頃はハッキリとした流行はナシ」という事なので
ここからメンズエッグが苦しくなって来たのではないかと想像します。


2013年

BIGBANGの影響でストリートスタイルが人気

読モのスタイルから「一気に広まっていったが、
なぜか本誌では強制終了」との事。
これも編集方針ですかねぇ。


・かつて一世を風靡したお兄系の復活を願って…

「一昔前に全国規模でブームになった`キレイめスタイル`の復活を」
狙ったようですが「読者には響かず(汗)」だったとの事。



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編集部が仕掛けようとして失敗したスタイルも多かったのですねぇ。

ストリート発祥のスタイルと編集部が仕掛けたスタイル、

それぞれの成長具合なんかもわかったら楽しかったのですけれど。

こうやって通して見てみるとメンズエッグは

アメカジ、サーフ、キレイ目、B-BOYなど

様々なスタイルに挑戦しているのがわかります。

これはメンズエッグが「お兄系」などという

ファッションスタイルを軸としているのではなく、

「ギャル男」というヒトを軸にしているからなのでしょう。

広義のお兄系として同カテゴリとして括られる事が多い

メンズナックルや



ソウルジャパンは



ファッションスタイルを軸としており

発信するファッションはあまり変化がありません。

しかし、「ヒト」を軸としていたメンズエッグは

時代のトレンドに合わせて発信するファッションが変化し続けます。

山田耕史のファッションブログ: メンズエッグの次はソウルジャパン?ファッション雑誌のテイストのブレについて考える。

↑でも考察しましたが、ファッション雑誌が長く持続するポイントとして

ある程度安定した数の支持者がいるファッションスタイルを軸とする

という事が挙げられるのではないでしょうか。


しかし、こうやって年表風にファッション史を振り返っていると

もっと系統建ててまとめ直したいと思ってしまいますね。

元々ファッション、特にメンズファッションの分析は少ないのですが、

その中でもお兄系だけのファッションの流れとなると

もしかしたらこの特集が最初で最後になるのかもしれません。

そう考えるとメンズエッグには

最終号でよくぞこの特集を企画してくれた、

と感謝したい気持ちになりますね。


※注
ここで述べられている内容は書き手の所属する組織・団体の主張を
代表・代弁するものではなくあくまでも筆者一「個人」としてのものです。


2013年12月5日木曜日

お兄系は不滅?戦後ヤンキーファッション史に見るお兄系の位置。



最近メンズエッグが休刊した事により、

いくつかお兄系ファッションの衰退についてのエントリを書いてきました。

山田耕史のファッションブログ: men's eggが休刊に追い込まれた理由は何だったのか?

山田耕史のファッションブログ: メンズエッグの表紙で見る「お兄系」が「お兄系」でなくなっていく変遷。

山田耕史のファッションブログ: メンズエッグの次はソウルジャパン?ファッション雑誌のテイストのブレについて考える。




メンズエッグの終了は私の周辺でもかなり話題になっており、

それに関連して先日あるお客様から

「今後お兄系ファッションはなくなってしまうのか?」

というご質問をいただきました。

それに対して私は

「徐々に縮小するかもしれないが

少なくともここ数年でなくなる事はありえない」

とお答えしました。


その理由は。

お兄系に変わる「ヤンキーファッション」が登場していないから

です。



私がそう考えるようになったのは

最近この本を読み返したからです。



私の大学時代の恩師である難波功士先生の著書、「ヤンキー進化論」です。

Amazonの内容紹介を引用すると

日本人の5割はヤンキー的であり(!?)、彼ら・彼女らは大ヒットを生み出す一大文化圏である。
それにもかかわらず、ヤンキーは調査・研究対象として見過ごされてきた。 
本書は、映画やコミック等の膨大な資史料をもとに、暴走族、ツッパリ、ギャル、オラオラ系...等々のヤンキー文化40年の変遷を一覧する。

という事で、戦後のヤンキーの生態が体系的にまとめられており、

映画や漫画などのサブカルチャーを軸にしているので

誰にでも取っ付き易く、楽しめる内容になっています。

ヤンキーのファッションに関してもかなり言及されているので

戦後のヤンキーファッションの大まかな流れは

この一冊でわかるようになっているのではないでしょうか。

特に私がありがたかったのが

巻末の「ヤンキー」」関連事象見取り図。


これを見ているとヤンキーファッションというのは

途切れる事なく続いててきたのだな、と感じます。

この見取り図を参考に

本書で取り上げられたヤンキーファッションを

掻い摘んでご紹介してみます。



60年代は井筒監督監督、島田紳助、松本竜介主演の

映画「ガキ帝国」に登場するような

ガキ帝国 : 星空シアター

リーゼントの学ランスタイル。

70年代前半は岩城滉一主演の「暴走族」シリーズのようなバイカースタイル。

爆発!750cc族

70年代後半から80年代には

今でもヤンキーファッションの代名詞となっている

特攻服が登場します。

80年代はツッパリがブームになる一方、

横浜銀蝿 全曲集 2013

嶋大輔 パーフェクト・ベスト

当時のトレンドだったニュートラファッションを取り入れたスタイルも

http://www.tetsu37.com/hitorigoto/1978/page01.html

流行していたそうです。


80年代後半から90年代に入るとチーマーが登場。

ヒップホップやレゲエなどの音楽ムーブメントから影響を受け、

いわゆる「B系ファッション」に代表される

ヒップホップ系ファッションがヤンキーファッションの主流になります。



その後00年代になると

ギャルのカウンターパートとしてギャル男が登場、

更にギャルの中から浮上したお姉ギャル系から

お兄系が生まれたようです。



と、日本のヤンキーファッション史をかなり簡略化して書きましたが

詳細が気になった方は是非読んでみて下さい。





で。



ここからがこのエントリの本題です(笑)

冒頭の

「今後お兄系ファッションはなくなってしまうのか?」

という問いかけに対する答えですが、

お兄系以降新しいヤンキーファッションが

生まれていない

ので

ヤンキー達がお兄系から

新しいファッションに移行しようにも

移行先がない

と私は思うのです。


今回見てきたように

ヤンキーファッションは生誕から約50年

途切れる事なく脈々と続いてきました。

そしてその最進化系である

お兄系も生誕から既に10年以上。

かなりの長期政権となっています。


お兄系誕生以降で生まれたヤンキーファッションとして先述の

オラオラ系

SOUL JAPAN 2011年9月号



オラオラ系から更に派生した

ビタ男


BITTER2013年9月号

などが挙げられますが

これらは今の所マスには広がらず、

お兄系の一カテゴリにとどまってしまっている感があるので

お兄系の後継になるには力不足でしょう。



ではお兄系に代わるヤンキーは今後生まれるのでしょうか。

私は当分の間は難しいのではないかと思います。

最近のファッションは

トラッドファッションをベースとした「良い子ちゃん路線」が主流です。

例として10代に人気の雑誌、Samurai ELOからスタイリングを抜粋すると


Samurai ELO 2013年12月号


こんなに爽やか。

「ラフな着こなし」というキャプションが付いていても


かわいいもんです。

こんな風に、最近のメンズファッションのトレンドはヤンキーっぽさが皆無。

こういった状況で新しいヤンキーファッションは生まれるのでしょうか。


「AFTERお兄系」がどんなファッションになるのかは

今後のメンズファッションにとって

とても重要な事柄のように思えてきました。

もしかしたら今雑誌に登場している、

あるいは街を歩いている男の子のファッションの中に

もう存在しているのかもしれません。

そう考えるとなんかワクワクしてきますね。



※注
ここで述べられている内容は書き手の所属する組織・団体の主張を
代表・代弁するものではなくあくまでも筆者一「個人」としてのものです。